被害者家族のために
 私は、エホバの証人問題で困っておられる家族の相談を受けるようになって、15年以上たちます。それぞれのケースには異なる面 もありますが、どのケースにも共通しているものは、家族の苦しみです。言葉では言い表せない苦しみです。このホーム・ページをご覧になっているあなたも、きっと苦しい思いをしてこられたはずです。しかし、どうぞ、希望を持ってください。既に、多くの方々が救出されているように、あなたの愛する奥さん、あるいはご主人、あるいはお子さんも、救出されることができます。

1.信教の自由とカルト問題
 カルト問題に直面しているご家族は、まず第一に、救出と信教の自由の問題について、深く考える必要があります。ご存じのように、信教の自由は、日本の憲法によって保証されています。つまり、誰がどんな宗教を信じようと、それはその人の自由です。また、人は何かの宗教的行事に参加しても、参加しなくても、そのことで村八分にされたり、差別 の対象になったり、迫害を受けたりするようなことがあってはなりません。更に、強制の伴う布教活動を行ったり、無理やりに信仰を捨てさせたりすることもいけません。信教の自由があるからです。
 しかし、6年前のオウムの地下鉄サリン事件でも問題になったように、信教の自由を盾に、反社会的なことをやっても良いという訳ではありません。信教の自由は、あくまでも尊重されるべき、貴重な権利です。しかし、人間社会に害を及ぼすような宗教団体の存在に対して、黙っているべきではないのです。数年前から、フランス国民議会もこの問題に取り組んでおり、同じ結論に達しています。
 では、一つの宗教団体が危険なカルト集団であるかどうかを判断するために、どのような基準を用いれば良いのでしょうか。まず、最初に、実際の被害が出ているかどうかということが、一番大きな判断材料になります。オウムのようなグループの場合、日本の社会に被害を及ぼしていることは、誰の目にも明らかです。既に、多数の人間の命を奪っているからです。しかし、被害状況がなかなか分かりにくい宗教団体もあります。例えば、ものみの塔聖書冊子協会です。ものみの塔協会に属するエホバの証人は真面 目であり、正直であり、穏やかな性格を持っており、兵役を拒否します。一般 の人の目には、とても危険なグループのようには見えません。しかし、実際に、ものみの塔の教理によって、何千、何万人もの尊い命が失われています。
 1996年の7月8日に、鹿児島県に住む妊娠五ケ月のエホバの証人が、ボート事故に遭い病院に運ばれましたが、輸血を拒否したために、胎児と共に死亡してしまいました。ちょうど次の日に、埼玉 県の病院のお医者さんから、私のところに電話がかかって来ました。その病院には十三歳の女の子が重病で、入院していましたが、手術に必要な輸血を拒否しているとのことでした。その子は両親をなくした孤児で、親戚 もいない子だったので、本人の承諾を得ない限り、何もできない状況でした。輸血をして、手術を行えば必ず直る病気でしたが、どこかで知り合ったエホバの証人が毎日のように病院に押しかけて、輸血をしないように、説得したそうです。お医者さんの説明を聞くと心が揺れ動きましたが、次の日にエホバの証人に会うと、「輸血を拒否します」と、元に戻ってしまうということです。手術をしなければ、命は一週間ももたないから、何とか説得してみてくれないか、と頼まれました。そこで早速、その週の金曜日に病院に行く約束をしたのですが、同じ日の夜に再び電話がかかってきました。「子供は先程、死にました」という知らせでした。病院の先生は激怒しながら、こう言われました。
 「彼らには、生きる資格がない。十三歳の孤児に、『死ね。死ね』と言っていたからだ。彼らのしたことは絶対にゆるせない。」
 ものみの塔聖書冊子協会発行の『目ざめよ!』誌1994年5月22日号の表紙に、多数の若者の顔写 真が載っています。そして、その下に、『神を第一にした若者たち』と書いてあります。彼らはどのような功績を作り、英雄扱いを受けるようになったのでしょうか。輸血を拒否して、死亡しているのです。この雑誌の中で紹介されているカナダのエイドリアン・イェイツ(十五歳)という青年は、輸血を拒否する理由を聞かれて、次のように説明しています。
 「・・・・・・これは良い取り引きではありません。神に逆らって、いま数年長く生きられたとしても、神に逆らったために復活できない、地上の楽園で永久に生きることもできないというのは、利口なやり方ではないでしょう。」
 このように、ニュースで取り上げられなくても、毎年、数多くのエホバの証人が輸血を拒否して、死んでいます。
 また、ものみの塔は、1879年にアメリカのペンシルバニア州で創立されて以来、何度も世の終わりを予言しなおしては、信者の数を増やしてきた団体です。1914年にも、1918年にも、1925年にも、1941年にも、1975年にも、ハルマゲドンが到来すると明言しています。そして、その都度、エホバの証人の若者に向かって、結婚、家庭、教育、就職は第一に求めるべきではないと教育し、伝道者になることが最善の生き方だと強調してきたのです。
 「若い人々はまた、現在のこの事物の体制の下で年配に達することは決してないという事実を直視しなければなりません。どうしてそう言えますか。なぜなら聖書予言の成就という証拠はすべて、この腐敗した体制があと数年のうちに終わることを示しているからです。・・・・・・ゆえに、若い人々はこの体制の差し伸べるいかなる立身出世の道をも決して全うすることができません。もしあなたがいま高校生で、大学教育をこころざしているとすれば、大学を卒業して、専門的な職業に携わるには少なくとも4年、場合によっては6年もしくは8年もかかるでしょう。しかしこの事物の体制はその時までにどうなっているでしょうか。もし実際に過ぎ去っていないとすれば、ほとんどその終わりに達していることでしょう!」(『目ざめよ!』誌、1969年8月8日号、15頁)。
 この記事が書かれた当時、ものみの塔は、1975年の秋にハルマゲドンが来るという預言を掲げて、伝道活動の緊急性を訴えていました。そこで、「この体制の差し伸べるいかなる立身出世の道をも決して全うすることができない」と信じて、多くの若者は婚約を破棄したり、大学に行く夢を捨てたり、就職を蹴ったりしました。予言が不発に終わって、既に30年になろうとしている今、彼らはどんな思いで人生を歩んでいるのでしょうか。彼らに対して、ものみの塔協会は一切、謝罪も代償もしていません。むしろ、組織のために人生を棒に振った若者が、「得をし、益を得た」と、鉄面 皮で主張しているのです(『ものみの塔』誌、1976年10月15日号、633頁)。
 更に、想像を絶する深刻な家庭破壊が、エホバの証人に関わる家庭に激増しています。エホバの証人は、ものみの塔の教えに賛同しない家族を、「信仰の敵」と見なすように指導されています。宗教問題に関する家族の話し合いを拒絶し、均衡の取れた考え方を持つようにという家族の説得を「迫害」としか受け取りません。あげくの果 てに、家族のことを「悪魔」と呼ぶようになり、ものみの塔の「兄弟姉妹」こそ本当の家族だと考え始めるのです。「エホバの証人になれば、あなたの家庭も幸せになります!」という、ものみの塔の宣伝とは裏腹に、エホバの証人のことで日本全国の数万軒の家庭において、トラブルが起きていると推定されています。
 ある宗教団体の危険度を測るための、もう一つの基準は、マインド・コントロールを用いるかどうかということです。マインド・コントロールは、カルトという言葉と同様に、しっかり日本語になってしまっていますが、正しい意味で理解されていない場合が多いようです。カルト研究の先駆者であるスティーブン・ハッサン氏は、その著書『マインド・コントロールの恐怖』の中で、マインド・コントロールを次のように定義づけています。
 「それは、個人の人格(信念、行動、思考、感情)を破壊して、それを新しい人格と置き換えてしまうような影響力の体系のことである。多くの場合、その新しい人格とは、もしどんなものか事前にわかっていたら、本人自身が強く反発したであろうと思われるような人格である。」
 家庭や学校や会社で行われる教育、あるいは訓練の目的は通常、人が本来持っているものを引き出すことにあります。しかし、カルトは違います。その教育・訓練の究極的なゴールは、人の本来の人格を破壊し、組織の意図に沿った新しい人格を植え付けることです。言い換えるなら、組織のコントロール下に置くことです。  結局、カルトの指導者は、自分の王国を築こうとしている人です。したがって、その人の第一の関心は、自分の支配権が及ぶ領土を広げることです。自分に仕えるロボットを増やすことです。
 ものみの塔聖書冊子協会は、自らを「神の代弁者」と称し、信者に対する絶対的服従を要求します。組織を批判する文書や、他の宗教の出版物を読むことを禁じます。組織に対して疑問を抱くこと、あるいは組織の指導がなくても生きていけると考えることは、「神のご意志に反している」とするのです。
 こうして、多くの事実が示しているように、ものみの塔は危険なカルト教団です。だからこそ、多くの家族が信仰の自由を認めつつ、何とか愛する者を救い出したいと考えます。問題は、どのようにマインド・コントロールを解くかということです。

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