ノルウェーの国王オラフ5世はある朝、宮殿から駅まで歩いていました。すると、道端に座っていた一人のホームレスの男性が、悲痛な声で訴えてきました。

 「王様、助けてください。私は何日も、何も食べていません。」

 オラフ王は彼の顔をじっと見つめて、こう聞きました。

 「本当に何も食べていないのか。」

 「はい、王様、本当です。おなかがぺこぺこで死にそうです。」

 「名前は何というのか?」

 「ヨハンです。」

 すると、王はメモ用紙とペンを取り出して、何かを書いてから、それを男性に渡しました。そこには、「今日の晩ご飯にヨハンを招待する」と書かれていたのです。

 ヨハンは、晩ご飯の時間まで待って、王からいただいた招待状を持って、宮殿に近づきました。宮殿の周りには拳銃を持った兵隊やガードマンがたくさん、立っています。ヨハンが恐る恐る、入り口まで進むと、ガードマンの一人はみすぼらしい彼の姿を見て、怒鳴りつけました。

 「早く帰れ。ここは、お前のような人間の来る所ではない。」

 しかし、ヨハンは勇気をもって、メモを取り出し、ガードマンに見せて言いました。

 「あのう、王様に招待されて来たんですけど。」

 確かに、メモにはオラフ5世のサインがしてあります。それでヨハンは王が食事する所に案内されました。そして、それまで口にしたことのない美味しい食べ物をおなか一杯食べました。

 次の日も、夕食時に、ヨハンが宮殿の入り口に姿を現しました。呆れ返ったガードマンは、「昨日は招待状を持っていたから特別に入れてやったけれども、今日はそういう訳にはいかないぞ」と、怒った口調でヨハンを追い返そうとしました。すると、ヨハンは王からいただいたメモをポケットから出して言います。

 「しかし、見てください。『今日の晩ご飯にヨハンを招待する』って書いてあるでしょう?だから、今日も食べても良いんでしょう?」

 何も返す言葉が見つからなかったガードマンは、仕方なく、王のダイニング・ルームに通しました。結局、ヨハンはその日も、またその次の日も、その次の日も、しばらく王の食卓に着くことができた、ということです。

 父なる神が罪人に注いでくださる恵みをよく現している話ではないかと思います。聖書で言う「恵み」とは、受ける資格のない者に一方的に与えられる神のご好意のことです。神に罪を犯した私たちは、本来、神の裁きを受けても当然な者でしたが、キリストの十字架のゆえに、神のあふれるばかりの恵みに預かることができるのです。

 「ですから、私たちは、あわれみを受け、また恵みをいただいて、おりにかなった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近づこうではありませんか」(ヘブル四・一六)。 これこそ、私たちが王から与えられた招待状なのです。私たちは、いつでも、「主よ、助けてください。恵みをください」と求めることができます。「今日も来たのか」と呆れられることは決してありません。
 今日、神の豊かな恵みを求めましたか。

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