最近、毛沢東時代の中国に関する本(Wild Swans)を読みましたが、一つの国がどのようにカルト化してしまったか、手に取るように分かります。1949年に内戦に勝利して、最高権力の座に上り詰めた毛沢東は、救世主として中国の庶民から歓迎されました。治安も良くなり、食糧不足も解消し、毛沢東の新しい政策が成功しているように見えました。ところが、1958年から、毛沢東は奇妙としか言いようのない政策を打ち出しました。中国を偉大な先進国に作り上げるためには、できるだけ多くの鉄を製造することが不可欠だと考え、全国民にとにかく鉄を作るように命令しました。学生も勉強よりも、鉄作りを優先するように、指示されました。農夫も、「作物より鉄だ」と言われて、一日中、鉄くずを集めては釜で溶かし、出来た鉄を役所に届けました。その結果、どうなったかと言うと、大飢饉が発生したのです。3000万人もの人々が死んだと推測されています。

 毛沢東の側近たちの懸命な努力によって、国の間違った政策が正されましたが、今度、その側近たちの権力の拡大を恐れた毛沢東は、「文化革命が必要だ」と言って、近代的な考えを持つ政治家、科学者、文学者、音楽家を弾圧し始めました。自分の権力を脅かすと思われる存在を徹底的に排除して、まるで自分を神にするかのように、国民の絶対的な服従と忠誠心を強要したのです。まさに、「毛沢東教」というカルトの始まりです。1966年からの10年間、国民は恐怖と混乱の中で生活しました。人々の宗教や言論の自由は勿論のこと、思考の自由までも踏みにじられました。私が読んだ本の著者も、初めはマインド・コントロールされていましたが、やがて「おかしい」ということに気付いて、中国人の自由を奪い返すために立ち上がったわけです。

 独裁的な指導者の特徴について、イエス・キリストはこう述べておられます。

 「異邦人の支配者たちは彼らを支配し、偉い人たちは彼らの上に権力をふるいます」(マタイの福音書20章25節)。

 この世の権力者たちは、自分の考え(政策・ビジョン・野望)を実現させるために、人を奴隷にします。言い換えるなら、人の体力や金戦力を吸い上げるのです。

 これに対して、キリストの足跡に従う指導者はしもべとなって、人に仕えます。

 「あなたがたの間では、そうではありません。あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、みなに仕える者になりなさい。あなたがたの間で人の先に立ちたいと思う者は、あなたがたのしもべになりなさい。人の子が来たのが、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためであるのと同じです」(26−28節)。

 こうして、独裁的な指導者は人から奪いますが、聖書的な指導者は、キリストと同じように、惜しみなく人に与えるのです。

 私たちは、権力の座に上り詰めることはないかも知れませんが、日ごろの人間関係の中で、人の幸せよりも、どのように自分のために人を利用できるかということを第一に考えてしまうことはないでしょうか。「受けるよりも与えるほうが幸いである」と聖書は言っています(使徒の働き20章35節)。あなたは、どちらの人生を選ばれますか。

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