コリー・テン・ブームという女性の話です。コリーさんは第二次世界大戦の時に、オランダでユダヤ人をかくまったために、お姉さんと共に、ナチス・ドイツの収容所に入れられてしまいました。そこで、二人は、地獄を見ました。結局、コリーさんだけが辛うじて生き延びることができましたが、収容所での苦しい経験を振り返って、彼女はこんなふうに言いました。

 「私たちの人生は、クロス・ステッチのようなものです。」

 クロス・ステッチというのは、糸で絵を作ったりするものですが、裏の面を見ても、どんな絵になるか、分かりません。色々な糸が絡み合って、とても醜い状態です。しかし、表の面、つまり作者側の面を見ると、美しい絵が姿を現すのです。

 私たちの人生も、クロス・ステッチの裏の面のように見えることがあるかも知れません。「何じゃこりゃ」と言いたくなるようなことがあります。しかし、私たちの人生の中でみこころをなそうとしておられる神の側から見ると、美しい絵ができつつあるのです。神は時々、その絵の表の面をちらっと見せてくださることもありますが、完成した絵を見るのは、天国に行ってからです。そこで私たちは、自分の人生のすべての出来事の意味を完全に悟ることになるのです。

 旧約聖書の創世記に、ヨセフの話が出て来ますが、ヨセフは若い時に、兄弟たちを治める者になるという夢を、神から与えられました。しかし、その夢が実現したのは、十数年後でした。その間に、兄弟に裏切られて奴隷の生活を強いられたり、無実の罪を着せられて牢屋に入れられたりもしました。ヨセフの人生は、まさにクロス・ステッチの裏面を見るようなものでした。しかし、すべては神のみこころのとおりでした。主は、ヨセフをリーダーとして、訓練しておられたのです。結局、ヨセフが三十歳の時に、牢屋から釈放されて、エジプトの総理大臣になる訳ですが、そこで初めて、神の作ろうとしておられた美しい絵が少し、見えるようになったのです。ヨセフは最後に、兄弟たちにこう言っています。

 「あなたがたは、私に悪を計りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとなさいました」(創世記五〇章二〇節)。

 あなたの人生は今、クロス・ステッチの裏面を見ているような感じですか。「どうして、こんなことになるのか」とつぶやきたくなるようなことばかりが起きているかも知れませんが、すべてのことに神のご計画があります。聖書にあるように、神はすべてを働かせて、益に変えてくださるお方です(ローマ書八章二八節)。あなたの人生も、最終的には、きっと美しい絵になることでしょう。

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