テレビの「水戸黄門」という番組があります。ちりめん問屋の光右衛門を名乗る人物が、助さんと格さんというお供を連れて、日本全国を巡り歩きます。放送時間が終わる五分前くらいになると、お供の助さんか格さんが懐から葵の紋のついた印籠を取り出し、「この紋所が目に入らぬか。頭が高い!一同、控えおろう!」と言って、光右衛門の正体を明かします。すると、一同はその御威光の前に土下座してひれ伏すのです。これで一件落着、めでたしめでたしとなります。

 それにしても、天下の副将軍の御威光というのは、たいしたものです。また、番組を見る度に考えることですが、テレビに登場する徳川光圀という人は、少し、イエス・キリストに似ています(番組の内容は歴史的に根拠の薄いものとされているようですが)。自分の立場を隠しながら、へりくだって人々に仕え、虐げられている人間を悪者の手から救う。その中で、ひどい目に遭ったり、バカにされたりするけれども、最後に、自分の正体を現すと、皆、彼に従わなければならない。まさに、聖書で描かれているキリストの姿です。キリストはこの地上を歩まれている間、ご自分の栄光を隠しながら、普通の人間として生活されました。しもべの姿を取り、人々に仕えられたのです。

 「キリストは、神の御姿であられる方なのに、神のあり方を捨てることができないとは考えないで、ご自分を無にして(『詳約聖書』:「そのすべての特権と正当な威厳を脱ぎ捨てて」)仕える者の姿をとり、人間と同じようになられたのです。キリストは人としての性質をもって現われ、自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われたのです」(ピリピ書2章6−7節)。

 しもべの姿を取られたキリストを見て、ほとんどの人々は彼の正体を知ることはありませんでした。ただ少数の弟子たちだけが、「あなたは神の子です」と告白したのですが(マタイの福音書14章33節参照)、十字架上で死なれ、その三日後に復活された時に、ついに、ベールが取り除かれ、キリストの栄光が現されたのです。

 「この福音は、神がその預言者たちを通して、聖書において前から約束されたもので、御子に関することです。御子は、肉によればダビデの子孫として生まれ、聖い御霊によれば、死者の中からの復活により、大能によって公に神の御子として示された方、私たちの主イエス・キリストです」(ローマ書1章2−4節)。

 ここにあるように、人間の見地からすれば、キリストは「ダビデの子孫」でしたが、復活の朝、神の御子としての本来の栄光が明らかにされました。その時、父なる神は全人類に対して、「空になったこの墓が目に入らぬか。一同、控えおろう」と命令されたのです。 使徒パウロは、前記のピリピ書の聖句の後、こう結論づけています。

 「それゆえ、神は、キリストを高く上げて、すべての名にまさる名をお与えになりました。それは、イエスの御名によって、天にあるもの、地にあるもの、地の下にあるもののすべてが、ひざをかがめ、すべての口が、『イエス・キリストは主である』と告白して、父なる神がほめたたえられるためです」(2章9−11節)。

 あなたは、「イエス・キリストは主です」と告白したことがありますか。

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