Cult News No.16

謎の白装束教団:パナウェーブ研究所

 

■謎の白装束教団:パナウェーブ研究所
 10年ほど前から山中を放浪して、各地で住民とトラブルを起こしている白装束キャラバン。日本のワイドショーが連日のように追いかけている「パナウェーブ研究所」とは、一体、どのような団体なのでしょうか。マスコミに対して「宗教ではない」と言っていますが、実際はどうなのでしょうか。

 教祖は千乃裕子という、69歳の女性です。弟子たちの間では、「ミカエル大王妃様」と呼ばれています。大阪で生まれ育った千乃氏は、近所の人々から、「変わり者」と見られていたようです。突然道端で立ち止まって考え込んだり、道で人に会っても挨拶しなかったり、商店街にある店をしばらく覗き込んでから黙って立ち去ったりするといった奇妙な行動が話題を呼びました。また更に、千乃氏が30代後半になってからのことですが、「ストリーキング事件」(一時アメリカで流行っていた習慣で、裸で街の中を走ること)を起こすこともあったといいます。大学卒業後、大企業に就職した千乃氏でしたが、失恋や仕事のミスが重なり、人間不信に陥ったために退職して、自宅で英語塾を開きました。その頃から、千乃氏は、宗教団体「GLA」の創始者、高橋信次氏の教えに接して入信。釈迦の生まれ変わり、あるいは真のメシヤとされていた高橋氏は、元々、電子工業会社を経営していた人ですが、同社は、「真の人間性を尊重し、企業活動を介在として出会う人々が生命の可能性を開花できる環境をつくる」を目的に掲げており、明らかに単なる営利企業と異なる性格を持っています。また、「電磁波妨害対策製品の開発」も事業の一つとしています。

 千乃氏は、GLAの中で、やがて重要な地位を得るようになりました。しかし、1969年に高橋氏が急逝すると、権力争いが生じ、教団を追われ、1977年に独自の団体、「千乃正法」を設立。初めは、自宅の英語塾に来ていた子供に伝道して、近所に住む3人の女子高校生を弟子として獲得します。その後、『天国の扉』などの本を出版し、更に信者を増やしていきました。今現在、その数は1000人を越えています。

 千乃正法は、電磁波が重なることにより発生する「スカラー波」によって自然環境が破壊され、動植物の生命を危うくし、人類滅亡に至り、地球崩壊をもたらすと主張しています。「パナウェーブ研究所」(福井県)は、そうした電磁波汚染による自然環境や人体に与える影響について調査したり、研究したりするための場所とされています。やがて、千乃氏は「共産ゲリラからスカラー電磁波の攻撃を受けている」と主張するようになり、電磁波を避けるために白い木綿の布や渦巻きマークのシールを張ったり、室内に観葉植物を置いたりしていましたが、1993年頃から、電磁波の少ない場所を探すために、度々、車で出掛けるようになりました。いわゆる「白装束キャラバン」の始まりです。「電磁波の攻撃の的となっている」(地球とすべての生命の犠牲を一身に背負っている?)千乃氏は、末期ガンで余命は短いと言われています。しかし、それにもかかわらず、「日本を舞台とした善と悪の最終決戦への最前線にて大使命の御敢行を貫き続けておられる」というのです。千乃氏が入院しない理由について、ある信者は次のように説明しています。

 「千乃正法の医学は、現代医学より進んでいます。医学に精通した霊がいるからです。もし入院すれば、先生は1〜2週間で亡くなってしまうでしょう。」

 同信者はまた、こう付け加えます。

 「本当は秘密なので言えないのですが、先生は亡くなったほうが楽なんです。高いところに上がれるのは間違いないんですから。それを今は、地球のため、人類のために活動を続けているんです」(『週刊文春』、2003年5月15日号、30頁)。

 言うまでもなく、渦巻きマークや木綿の白布で電磁波を妨げるという科学的な合理性は全くありません。また、教団のメンバーが携帯電話、デジカメラ、自動車など、電磁波を発生する物を使用していることに、大きな矛盾が見られます。

 被害妄想とも言える、教団の電磁波へのこだわりようは、いくつかの不可解な事件の引き金となっているのではないか、と指摘する声もあります。1998年2月20日、香川県坂出市で高圧電線の鉄塔が倒されました。鉄塔を固定していたボルト80個中76個が外されていました。この事件をパナウェーブ研究所に直接結び付ける証拠は出ませんでしたが、教団の車を目撃したと証言する人がいます。更に、その直後に、広島県の三次市では、「高圧電線からのスカラー電磁波が体を蝕む」と書かれたビラが撒かれました。その時も、キャラバン隊が再三目撃されています。

 同教団のもう一つの特異な主張は、「第十惑星の接近で地球に大異変が起こる」というものです。それによると、第十惑星ニビルが3675年ぶりに地球に再接近し、大津波が起こって日本は飲み込まれてしまうそうです。この非常事態に備えて、教団はマグニチュード15の地震にも耐え得る避難用シェルターを八ヶ岳に設けています。視察した地元の関係者の話によると、建物の内部には犬や猫が約40匹のほか、豚、カラス、イグアナが収容されているといいます。ちなみに、前回のニビルの接近がノアの箱舟の時だったと教団は主張しています。クリスチャンだった母親の影響で学生時代に洗礼を受けたとされる千乃氏は、現代版ノアの箱舟を作った、ということでしょうか。当初、ニビルが最も地球に接近するのは5月15日のはずでしたが、「日本列島を覆うS波攻勢とアンドロメダ星雲他の星雲との引力圏の微妙な重力バランス」により、「5日から1週間近く延びる」のだそうです。更に、教団の文書の中に、「今は、地球での善悪の最終戦の最中である」とか、「水没する財を天に積み、大王妃様のために戦い抜こう」とか、「もし人々が天の御警鐘に従わず、千乃様の死をもたらすようなことがあるなら、全人類を一挙に滅ぼそう」とかいうような恐ろしい言葉があります。ですから、25年前の「人民寺院」(南米のガイアナで912人もの自殺者が出た惨事)の悪夢が再び訪れる可能性が十分あります。

   
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